千代の光

丁寧な酒造りに数値管理を極める蔵「千代の光」

創業万延元年(1860年)。

新潟県内でも屈指の豪雪地帯である妙高市(旧新井)にて頸城連峰に囲まれ、山々のふもと、広大な米田の中にある蔵です。

冬になると、最低積雪量3メートルの雪が積もり、人の背よりも遥か高く、家の高さ程の雪の壁ができあがります。

町を見守るように囲む山々、土地に根付き生命を育む田んぼも一面雪に覆われ、町全体が白く染まり、澄んだ空気が痛いほどの静寂を生み出します。

そんなある意味別世界かと感じるほどに雪に覆われ、長く厳しい冬が訪れる土地だからこそ、酒造りには非常に適した環境でもあるのです。

降り積もる雪は空気中の塵を吸着し、空気を綺麗に澄みきらせてくれます。

雪解け水が山にしみわたり、いつしか湧き水となって、頸城連峰の最高峰火打山を源とする清流矢代川の伏流水を仕込み水として使用しています。

蔵の周りに広がる田んぼでは自家栽培を行い、春から秋にかけ、稲の力強い実りの姿を見せてくれます。

自家栽培米の他にも、永田農法という、別名スパルタ農法と呼ばれる特殊な方法で育てた米なども使用しています。

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千代の光

千代の光酒造の特出すべき点は、造りに対するこだわり、丁寧さです。

酒を造る過程での温度・湿度管理、米が水をどれだけ吸収するかが酒の味を大きく変化させるため、洗米、米を蒸す時などの水量調節、それらを数値化し、細かに、けれど綿密に手を加え、酒と向き合っています。

酒を造るうえでの基礎となる作業、だからこそより丁寧に、どこの蔵よりも誠実に酒を造っています。

当たり前のことを当たり前に、けれどどの蔵よりも手をかけている酒造です。

醸造酒は気温や温度変化に敏感で繊細な酒です。醸造酒である日本酒は本来、日の光にあてず、冷暗所での保管が望ましいとされています。

しぼりあげた酒は貯蔵タンクの中で一端保存します。何キロ、何トンもの酒を眠らせる貯蔵タンク。莫大な量の酒を保管するには、広大な土地が必要です。

けれど、1つ1つが大きく大量のタンクを囲い、真夏の際などに日光からさえぎってくれる建物をつくることは、容易ではありません。

だからこそ千代の光では、酒の品質を少しも損ねないようにと、貯蔵タンクは全て室内で管理されています。

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精米歩合へのこだわり

また何と言っても、千代の光酒造の精米歩合の高さは他蔵とは比べても一目で分かるほどで、千代の光酒造にしかできない酒造りとも言えます。

酒造りにおいて精米することを「米を削る」ではなく「米を磨く」と言います。日本酒は精米歩合で酒の名称、つまりランク分けをしています。

精米歩合70%以下は純米酒・本醸造酒、60%以下は特別純米酒・特別本醸造酒・吟醸酒、50%以下は大吟醸酒と、一粒の米をどれだけ精米しているかで、酒の種類が決められています。

蔵では、よりうまい酒を造るには米を限界まで磨くべきと考え、名称よりも上のランク酒の精米歩合まで米を磨きあげています。

徹底して磨かれた米、丁寧で綿密な作業と管理、酵母は10号酵母を使用して造られた酒は、上品な美味しさで、全国新酒鑑評会にて数回金賞受賞するなど評価されてきました。

特に、関東信越局国税局酒類鑑評会主席第一位を連続で受賞し、この連覇という受賞歴をもつ蔵は、数多ある酒蔵の中でも、ほんのひとにぎりの蔵しかありません。

非常に希少で、酒の品質、味、全てが高く評価された証でもあります。

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