八幡屋がこの3蔵をおすすめする理由

新潟県は全国で一番日本酒の蔵が多く約90の蔵がある日本有数の日本酒県です。

その中で当店が絶対的な自信を持ってお勧めする清酒が千代の光、鮎正宗、銀の翼(原酒造)の3つです。

八幡屋おすすめ3蔵

私は小売店八幡屋の3代目ですが、酒屋を継ぐつもりはなく別の業種でいろいろな人のお世話になりながらも充実した仕事をしていましたが、病気の父の関係で平成元年に新潟に帰りお店を継ぎました。

そうした中、初めて蔵との取引が出来たのが千代の光でした。当時、関東信越国税局鑑評会で首席第一位を2連覇をしたこともあり全国の蔵の手本ともなっていた蔵で、そう易々とお取引につながったわけではありませんが、詳しいお話しは千代の光のページにて。

そして鮎正宗とも取引ができたできたことによって、私の酒店としての方向性がうっすらと見えてきました。

司馬遼太郎が坂の上の雲の中で書いていました。歴史は時として、ごく狭い地域に秀でた人物を誕生させると。薩摩の西郷隆盛であり、西郷従道であり、大久保利通であり、長州の高杉晋作であり、久坂玄瑞であり、桂小五郎。そして、伊予松山の秋山真之、好古、正岡子規である。

それに比べてこじつけがましいかもしれませんが、妙高市(旧新井市)にある千代の光酒造と鮎正宗酒造もそれに匹敵するほどの秀でた個性と酒造りに対する愛情と情熱を兼ね備えた銘柄です。

千代の光さんがすごいのは、社長が技術者として最高の酒造りを目指して100分の一の精度で作業をチェックし、デミングのPDCAを実施し、進歩を目指して改善していく。私が知りうる限りでは米の精米歩合は日本一だと思います。

酵母も上品で控えめで穏やかな香りを出す10号が中心で、県内ではいち早く遠心分離機を導入しています。

八幡屋おすすめ3蔵
鮎正宗

鮎正宗さんは一万坪の敷地の中から湧き出る最高の水を使い、麹づくりに手間を掛け、甘口で味のある純米酒づくりに特化しており、901号酵母で五味があり味のある酒質で一口飲んだだけで鮎さんの個性が主張されている酒です。

妙高山の大自然がもたらす水が特徴の酒蔵です。

そして今、注目しているのが地元柏崎・越の誉の銀の翼です。銀の翼というよりも、これを造っている越の誉和醸蔵の杜氏石黒芳和さんです。

非常に穏やかで論理的思考を持っており、杜氏養成の新潟清酒学校の一期生になった方です。米作りと酒造りのエキスパートとして尊敬できる人です。

銀の翼

石黒さんの造る酒は新潟の辛口の王道と言えるでしょう。ここの特徴は・・・国立北陸農業試験場と共同開発した酒米「越神楽」です。

越の誉さんの鑑評会で勝負をかけるお酒は全てこの越神楽を使っており、まさに越の誉の秘密兵器と呼ばれるものです。

光の三原則で青・黄・赤の3種類ですべての色を表現できるように、甘口で麹づくりと湧き水の901号酵母の鮎正宗、中口で精米歩合トップで香りが控えめで上品な10号酵母の千代の光、辛口で独自の酒米でフルーティな1801酵母の銀の翼。

この3つの蔵がそれぞれ10種類以上の酒を造っており、この3つはまさに光の三原則のごとく、ほとんどの味覚をカバーできると思います。

アレクサンドル・ディマのモンテ・クリスト伯の中で、悲観に暮れる獄中の中で、主人公のエドモン・ダンテスにファリア司祭は教えました。あらゆる歴史上の有名な文学を読んで天才ファリア司祭は、行き着くところ基本となるのはおよそ150冊の書物に集約される、と。5千冊もの本を読みこんだが、すべてはその応用だけにすぎない。

いち酒販店として、不遜な気持ちもありますが、この3つの蔵を皆さんにお伝えするのが私の使命だと思っています。